分岐回路の電線・ケーブルの長さと太さに関する問題は、過去6回で2回出題の合格分かれ道項目。
出題頻度は高くないものの、マスターする数値は4つだけなので、早めにマスターしてしまおう。
合格するための重要ポイントは。
- 分岐回路の電線長さは原則 3m 以下
- 電線が長ければ太い電線を使う
- 数値は 3~8m と 0.35、0.55
出題傾向と対策
分岐回路の設計指針
機器を増設したい、コンセントを増やしたいなど、分岐回路を増設するときには、分岐回路に過電流遮断器を施設する必要がある。
このとき、幹線から分岐する点=分岐回路の開始点と遮断器までの距離は原則 3m 以下にしなければならない。
ただ、そうはいっても、部屋のレイアウト、負荷の設置場所等の制約により、電線を 3mを超えて引き廻さなければならないときには、距離が長いほど太い電線を使う必要がある。
電線の太さ
それではどれくらい太い電線を使えばよいか。
分岐回路の電線の許容電流を IW、幹線回路の遮断器の定格電流を IB とすると
電線長さ | 電線の許容電流 IW |
---|---|
8m超 | 0.55×IB |
3~8m | 0.35×IB |
3m以下 | 太さに制限無し 負荷容量で太さ決める |
過去問
R3年下期-午前問9
図のような定格電流 40A の過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線からぶんきして、10m の位置に過電流遮断器を施設するとき、a-b間の電線の許容電流の最小値は
<解法>
a-b間の距離が 10m で 8m 超のため、分岐電線の許容電流 IW は過電流遮断器の定格電流 IB の 0.55 倍以上。
したがって、IW ≧ 0.55 × IB = 22A
R3年上期-午後問9
図のように、定格電流 100A の配線用遮断器で保護された低圧屋内幹線から VVRケーブルで低圧屋内電路を分岐する場合、a-b間の長さ L と電線の太さ A の組合せとして、不適切なものは。
ただし、VVRケーブルの太さと許容電流の関係は表の通りとする
<解答の選択肢>
- L : 1m、A: 2.0mm
- L : 2m、A: 5.5mm2
- L : 10m、A: 8mm2
- L : 15m、A: 14mm2
<解法>
L が 3m 以下、3~8m、8m超で分けて考える。
選択肢1と2は 3m以下だから電線太さに制約なし。適切。
選択肢3と4は 8m超だから、ケーブルの許容電流 IW ≧ 0.55×IB(遮断器の定格電流)。そして、問題文から IB = 100A。したがって、IW≧ 55Aとなり、不適切なのは選択肢3。
まとめ
分岐回路の電線・ケーブルの長さと太さに関する問題は、過去6回で2回出題の合格分かれ道項目。
合格するための重要ポイントは。
- 分岐回路の電線長さは原則 3m 以下
- 電線が長ければ太い電線を使う
- 数値は 3~8m と 0.35、0.55
関連問題
・R3年下期-午前問9
・R3年上期-午後問9
・配電線路の解説一覧