【電気工事士2種-筆記問題解説】配電線路の抵抗成分による発熱損失の計算

配電線路の発熱損失の計算問題は、過去6回で5回出題の合格必須項目。

合格するための重要ポイントは1個。

  1. 配電線路1本での発熱損失は I 2R

出題傾向と対策

ふくラボ流の解説

市販テキストでは、配電線路の発熱損失について、次のように公式が記述あれているようである。

・単相2線式 2I 2R
・単相3線式 2I 2R(中性線に電流が流れないとき)
・3相3線式 3I 2R

これを「覚える」のは非常に無駄であり、危険である。

では、どのように理解すれば安全で確実に合格に近づくかというと、次の2文をマスターすることである。

  1. 配電線路(抵抗 R) 1線分での発熱損失は、普通の抵抗負荷での消費電力と同じ I 2R
  2. 回路(配電路)に含まれる配電線路にいくら電流が流れるかをそれぞれ求め損失を計算し、足し合わせる

次の図で示す配電路だと、上側の配電線路の抵抗は R1[Ω]、下側の配電線路の抵抗は R2[Ω]、配電線路を含む回路全体を流れる電流は I [A] 。だから、この配電路全体での発熱損失は、P1P2[W] である。

単相2線式

単相2線式は電流が流れる配電線路が2本。だから、配電路全体の発熱損失は線路2本の損失を足し合わせる。

単相3線式

単相3線式も考え方は全く同じ。線路は3本あるから、3線分の損失を求め、足し合わせる。これが基本。ここから外れる必要はない。

た、だ、し、電工2の筆記試験では、次の図のように、上半分の配電路と下半分の配電路とで、電源電圧、配電線路の抵抗、負荷の全てが等しい回路が出題される。

このときには、真ん中の線路に流れる IAIB が大きさ一緒で向きが反対になるため、真ん中の線路に流れる電流は正味 0 となり、この線路では発熱損失が生じない。だから、一番上の線路と一番下の線路での発熱損失を足し合わせるだけで求まる。

このようにして求められるわけだが、これはあくまで特殊な場合。

だから、単相3線式では「一番上の線路と一番下の線路での発熱損失を足し合わせる」と覚えるのではなく3線分の損失を求めることを習慣づけよう。

三相3線式

三相3線式も考え方は全く同じ。線路は3本あるから、3線それぞれの損失を求め、3線分を足し合わせる。これでOK。

実際の問題

単相3線式の配線電力損失

図のような単相3線式回路において、電線1線当たりの電気抵抗が 0.2Ω、抵抗負荷に流れる電流がともに 10A のとき、配線の電力損失 [W] は。

<解法>
配線路抵抗と負荷抵抗の大きさと接続をみると、中央の配線路に対して対称な回路だから、中央の配線路には実質電流は流れない。したがって、配線の電力損失は 40W

三相3線式

図のような三相交流回路において、電線1線当たりの抵抗が 0.2Ω、線電流が 15A のとき、この電線路の電力損失 [W] は

<解法>
電線路1本での電力損失は、上電路、真ん中電路、下電路全て等しく、 I 2R = 45W。全体での電力損失は 135W。

まとめ

配電線路の発熱損失の計算問題は、過去6回で5回出題の合格必須項目。

合格するための重要ポイントは1個。

  1. 配電線路1本での発熱損失は I 2R

関連問題
R3年下期-午後問7(単相3線式の電力損失)
R3年上期-午前問7(三相3線式の電力損失)
R2年下期-午後問7(単相3線式の電力損失)
R2年下期-午前問6(三相3線式の電力損失)
R2年下期-午前問7(単相3線式の電力損失)

電気回路の解説一覧

タイトルとURLをコピーしました