【電気工事士2種-筆記問題解説】電気工事士の作業範囲(電気工事士でなければできない作業)

電気工事士の作業範囲(電気工事士でなければできない作業)に関する問題は、過去6回で3回出題の合格の分かれ道項目。

しかし、できる作業/できない作業を全部暗記することは不可能。

なので、この記事ではあなたに、作業を切り分けるヒントをお伝えする。

  1. 2種は一般用電気工作物、自家用電気工作物(500kW未満)は1種
  2. 電気工事士でなければできない作業
    • 技能試験でする作業
    • 筆記試験で出題される問題に関連した作業
  3. 電気工事士でなくてもできる作業
    • 小規模工場で頻繁に発生する作業
    • 土木業者などの専門業者に頼んだほうが早い・頼まないと無理な作業

ぜひヒントをマスターしてから、各作業を切り分けてみてほしい

電気工事士の作業範囲に関する出題傾向と対策

2種は一般用電気工作物

筆記試験では、一般用電気工作物/自家用電気工作物の切り分けが出題されるが、2種の電気工事士が従事できるのは一般用電気工作物。

電気工事士でなければできない作業

  • 技能試験でする作業
  • 筆記試験で出題される問題に関連した作業
技能試験でする作業

技能試験では、VVFの心線同士をリングスリーブや差込コネクタを使って接続したり、埋込コンセント・スイッチに電線を差し込む・接続する作業が採点される。

なぜ採点されるかというと、電気工事士はその作業が正確にミスなくできなければならないから。

ということは、裏返して言えば、技能試験でする作業は、電気工事士でなければできない作業(一般の人が行ってはいけない作業)ということになる。

この代表例が次のような作業。

・電線同士を接続する作業
・電線管(など)に電線を収める作業
・電線管とボックス(など)を接続する作業

筆記試験で出題される問題に関連した作業

筆記試験で出題される問題の内容は、電気工事士としては当然知って、理解しておかなければならない内容。

ということは、その内容に関連した作業も、電気工事士でなければやってはいけない作業と言える(ものが多い)。

この作業としては、次にようなものが当てはまる。

・金属製の防護装置を取り付ける(取り外す)作業
接地極を地面に埋設する作業

電気工事士でなくてもできる作業

  • 小規模工場で頻繁に発生する作業
  • 土木業者に頼んだほうが早い・頼まないと無理な作業
小規模工場で頻繁に発生する作業

とある工場で使用している、とある工作機械の電源ケーブルがコンセントタイプではなく、圧着端子をブレーカに直接接続するタイプだったとしよう。

この機械を移動しなけばならなくなったとき、電源ケーブルをブレーカから外す・取り付ける作業が電気工事士でなければできない作業だったらどうなるか?

移動作業のたびに電気工事士に作業を依頼しなければならず、製品の納期が遅れ、契約を打ち切られる、なんてことも起こり得る。

これはあまりに現実社会を無視した状況である。

そういうわけで、工場などで頻繁に発生するような作業は、電気工事士ではなくてもできるように指定されているようだ。

・開閉器に(機器の電源)ケーブルを接続する作業
・電動機などの電気機器(配線器具を除く)の端子に電線をネジ止めする作業
・ヒューズを取り付ける(取り外す)作業

土木業者に頼んだほうが早い・頼まないと無理な作業

ちょっと想像してみてほしい。工場の敷地内に新たに外灯を新設したいとき、アスファルト道路の下に合成樹脂管(FEPとか)を埋設して、その中に電源ラインを通したい、そのような場合。

合成樹脂管を埋設するために、アスファルトを掘り起こす作業は、その道の専門家である土木業者にやってもらったほうが断然安いし確実。

それを電気工事士でなくてはいけない作業であったら、土木業者には電気工事士がいなくてはならなくなる。

これは、現実の工事として極めて不便・人件費がかさむ。

というわけで、土木業者のような専門業者に頼んだほうが早い・頼まないと無理な作業は、電気工事士でなくてもできる作業に指定されている。

・電線を支持する柱、枕木などを設置する作業
・地中電線用の暗きょまたは管を設置する作業

過去問

<R3年下期 午後問28>

「電気工事士法」において、第二種電気工事士であっても従事できない作業は

<解答の選択肢>

  1. 一般用電気工作物の配線器具に電線を接続する作業
  2. 一般用電気工作物に接地線を取り付ける作業
  3. 自家用電気工作物(最大電力 500kW 未満の需要設備)の地中電線用の管を設置する作業
  4. 自家用電気工作物(最大電力 500kW 未満の需要設備)の低圧部分の電線相互を接続する作業

<解法>
2種電気工事士は、一般用電気工作物に関する作業は可能。

残る選択肢3と4で、自家用電気工作物(最大電力 500kW 未満の需要設備)は1種電気工事士の範囲。

ただ、選択肢をよく読むと、選択肢3:「地中電線用の管を設置する作業」とある。地中に管を設置するのは土木業者に頼んだほうが確実・安全な作業。だから、この作業は電気工事士でなくてもできる作業。

ということで、残る選択肢4:自家用電気工作物の電線相互を接続する作業は、2種電気工事士では作業できない。

<R3年上期 午後問28>

「電気工事士法」において、一般用電気工作物に係る工事の作業で、a、b ともに電気工事士でなければ従事できないものは

<解答の選択肢>

  1. a:配電盤を造営材に取り付ける
    b:電線管を曲げる
  2. a:地中電線用の管を設置する
    b:定格電圧 100V の電力量計を取り付ける
  3. a:電線を支持する柱を設置する
    b:電線管に電線を収める
  4. a:接地極を地面に埋設する
    b:定格電圧 125V の差込み接続器にコードを接続する

<解法>
次の作業は、電気工事士でなくてもできる作業。

選択肢2a:地中電線用の管を設置
選択肢3a:電線を支持する柱を設置
選択肢4b:差込み器にコードを接続

したがって、2つの作業とも電気工事士でなければできない作業の選択肢は1。

まとめ

電気工事士の作業範囲を切り分けるヒント。

  1. 2種は一般用電気工作物、自家用電気工作物(500kW未満)は1種
  2. 電気工事士でなければできない作業
    • 技能試験でする作業
    • 筆記試験で出題される問題に関連した作業
  3. 電気工事士でなくてもできる作業
    • 小規模工場で頻繁に発生する作業
    • 土木業者などの専門業者に頼んだほうが早い・頼まないと無理な作業

これをマスターしてから、それぞれの作業を切り分けてみよう。

関連問題
R3年下期-午後問28
R3年上期-午後問28
R3年上期-午前問28

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