【電気工事士2種-筆記問題解説】三相誘導電動機の回転数(同期速度)と始動方法

三相誘導電動機は、過去6回で6回出題の合格必須項目。

合格するための重要ポイントは2つ。

  1. 回転数(同期速度)
  2. 始動方法

出題傾向と対策

回転数(同期速度)

三相誘導電動機の回転数、もう少し正確に言うと同期速度は、次の式で求めることができる。

Ns [rpm] は電動機の同期速度、f[Hz] は電源周波数(電動機を駆動する電源の周波数)、P は電動機の固定子の極数である。

なぜこの式で求めれられるかを理解するには、電動機の原理から理解する必要があるため、筆記試験対策には、この式で過去問が解けるように繰り返し練習するべし。

過去問

R3年上期 午後問14
三相誘導電動機が周波数 60Hz の電源で無負荷運転されている。この電動機を周波数 50Hz の電源で無負荷運転した場合の回転の状態は

<解答の選択肢>

  1. 回転速度は変化しない
  2. 回転しない
  3. 回転速度が減少する
  4. 回転速度が増加する

<解法>
三相誘導電動機の無負荷時の回転速度は同期速度とほぼ一致する。

同期速度は次式で求められる。

周波数 f は式の分子にあるから、周波数が 60Hz から50Hz へ低くなるときには、Ns は小さくなる。

したがって、選択肢の中で正しいのは選択肢3:回転数が減少する。

始動方法

三相誘導電動機は、かご形と巻線形に分かれるが、電工の筆記試験ではかご形の始動方法が出題される(電験3種では巻線形も出題範囲)。

この三相かご形誘導電動機は、工夫無しの結線で始動=全電圧始動すると、停止状態から ONする(始動する) ときの始動電流は定格電流の数倍に達する。

このため、配電線路の遮断器等の関係で始動電流を小さくしたいときには、スターデルタ始動を行う。

スターデルタ始動とは、電源と電動機を2系統で接続し、片方は電動機(のコイル)がスター結線になるように、もう一方はデルタ結線にする。

そして、停止状態から始動するときにはスター結線で電源を供給し、回転数が一定以上になったらデルタ結線に切り替える始動方法である。

こうすることで、始動電流を低く抑えることができる。

ちなみに、スターデルタ始動は、電工1では合格の分かれ道項目である。

過去問

<R3年下期 午前問14>
三相誘導電動機の始動電流を小さくするために用いられる方法は

<解答の選択肢>

  1. 三相電線の3本の結線を3本とも入れ替える
  2. 三相電源の3本の結線のうち、いずれか2本を入れ替える
  3. コンデンサを取り付ける
  4. スターデルタ始動装置を取り付ける

<解法>
三相誘導電動機の始動電流を小さくするためには、スターデルタ始動すればよい。

ちなみに、選択肢2:3本のうち2本を入れ替えると、回転の向きが逆になる。

選択肢3:コンデンサを取り付けると、力率が改善する。

選択肢1:3本とも入れ替えたら…たぶん、なにも変化しない。

まとめ

三相誘導電動機は、過去6回で6回出題の合格必須項目

合格するための重要ポイントは2つ。

  1. 回転数(同期速度)
  2. 始動方法

関連問題
R3年下期-午後問14(始動方法)
R3年下期-午前問14(始動方法)
R3年上期-午後問14(回転数)
R3年上期-午前問14(回転数)
R2年下期-午後問14(回転数)
R2年下期-午前問14(特徴)

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