金属管工事の問題は、ケーブル工事と並んで、超絶合格必須項目。これをマスターせずに合格するのは難しいかもしれないレベル。
絶対にマスターすべきポイントは6つと少々多いが、合格には避けて通れないのと同時に、マスターできれば合格にぐんと近づける!
合格するための重要ポイントは6つ。
- 低圧屋内配線工事はどこでもOK
- 木造屋側配線工事はNG
- 「E」はねじなし電線管
- 電線管同士の接続
- パイプベンダ
- アウトレットボックスとの接続
そして、過去問で60点を超えるようになったら、少々ややこしいが重要なD種接地工事の省略条件を押さえよう。
出題傾向と対策
低圧屋内配線工事はどこでもOK
金属管工事は、低圧屋内配線工事ならどこでも工事可能。
次の4つの工事とセットで、どこでもOKとマスターしよう。
・ケーブル
・金属管
・金属製可とう電線管
・合成樹脂管(CD管除く)
木造屋側配線工事はNG
これは問31以降で出題される内容だが、木造建物の屋側配線(屋外の壁側の配線)には、金属管はNGである。
具体例は次の過去問で確認してほしい。
過去問 <R3年下期 午前問34>
④で示す部分の工事の種類として、正しいものは
<解答の選択肢>
- ケーブル工事 (CVT)
- 金属線ぴ工事
- 金属ダクト工事
- 金属管工事
<解法>
この問題を解くには、この配線図面の他に、問31-50までの配線図面の上に記述された問題文を読む必要がある。
あなたの目で必ず確認してほしいが、問題文の一番最初に「図は、木造3階建住宅の配線図である」と記述されている。
そう、この問題を解くには、この図面が木造住宅の配線図面ということを見極める必要がある。
そうすると、④の部分は建物の外で壁際、つまり木造住宅の屋側配線になる。
そして、金属管工事は木造建物の屋側配線には使えない。つまり、選択肢4の金属管工事は誤り、ということになる。
「E」はねじなし電線管
金属管工事では、次の3タイプの電線管が使用される。
・ねじなし電線管(E管)
・薄鋼電線管(C管)
・厚鋼電線管(D管)
2つの鋼電線管は、電線管同士を接続するために、管端部の表面にねじが切ってある。
一方、ねじなし電線管(E管)は、その名称通り、ねじが切ってない。
筆記試験では、ねじなし電線管(E管)が頻繁に出題されている。ねじなし電線管は配線図面で「E」と記される、これをマスターするように。
具体的にどのように出題されるかというと、次の過去問のように、建物配線図には、電線を通すのに、どこ(天井隠ぺい、床隠ぺい等)に、どの工事(管)を使うかが記述されている。
ここで注目は (E31) の部分。これは、径31のE管(ねじなし電線管)を使う、という意味。
問題 <R3年上期 午後問46>
16で示す部分の工事で、一般的に使用されることのないものは
<解答の選択肢>
<解法>
16部分に (E31) と記載がある。E はねじなし電線管を使用するということ。
選択肢のイとロをよくみると、管端部分にネジがある。これは、ねじなし電線管を固定するためのネジ。
一方、選択肢二は内壁にネジが切ってある。これは、管端部にネジが切ってある鋼電線管(C管もしくはG管)を接続するために使用するカップリング(カップリングについては、このすぐ下の解説に)。
したがって、16部分の工事で一般的に使用しないのは、選択肢二:カップリング。
電線管同士の接続
カップリング
電線管同士を接続することをカップリングと呼び、接続に用いる器材もカップリングと呼ぶ。
金属管同士の接続には次のカップリングが使用される。
鋼電線管(C管、G管) カップリング
ねじなし電線管 ねじなしカップリング
カップリングとねじなしカップリングの写真が次の写真である。
電線管表面にねじが切ってある C管、G管同士を接続するときに使うカップリングには、カップリング内壁にねじが切ってある。
一方、ねじなし電線管同士を接続するねじなしカップリングには、電線管を固定するためのネジがついていて、電線管を挿入してネジを締め付けることで電線管を固定する。
写真を見比べて違いを認識できれば、忘れることはない。
過去問 <R3年下期 午前問23>
金属管工事による低圧屋内配線の施工方法として、不適切なものは
<解答の選択肢>
- 太さ 25mm の薄鋼電線管に断面積 8mm2 の 600V ビニル絶縁電線3本を引き入れた
- 太さ 25mm の薄鋼電線管相互の接続にコンビネーションカップリングを使用した
- 薄鋼電線管とアウトレットボックスとの接続部にロックナットを使用した
- ボックス間の配管でノーマルベントを使った屈曲箇所を2箇所も受けた
<解法>
選択肢2で、薄鋼電線管同士の接続にはカップリングを使用する
ねじ切る
ねじなしカップリングと後述のねじなしボックスコネクタには、ねじなし電線管を固定するためのネジが付いているが、電線管を固定するときは、ネジがねじ切れるまで回し続けること。
これは、電線管をがっちりきっちり固定するための手段。
過去問 <R3年上期 午前問13>
パイプベンダ
一部の金属管製品を除き、金属管はストレート管である。
このため、施工するときには適宜曲げる必要があるが、このとき使うのがパイプベンダである。
なお、2種では出題されないが、1種では油圧式パイプベンダが合格の分かれ道項目として出題される。
高圧ケーブル・絶縁電線を挿入する金属管は太くなるため、手動のパイプベンダでは曲げることができない。このため、油圧式パイプベンダを使用する。
出題されることはないはずだが、手動パイプベンダと油圧式パイプベンダをセットでマスターすると忘れにくい。
過去問 <R3年上期 午前問13>
電気工事の種類と、その工事に使用する工具との組み合わせで、適切なものは
<解答の選択肢>
- 合成樹脂管工事とリード型ねじ切り器
- ライティングダクト工事と合成樹脂管用カッタ
- 金属管工事とパイプベンダ
- 金属線ぴ工事とボルトクリッパ
<解法>
パイプベンダは金属管を曲げる工具
アウトレットボックスとの接続
アウトレットボックスとの接続は、筆記試験では出題頻度は低いのだが、技能試験では絶対にマスターしなければならないので、重要ポイントとして解説する。
電線同士を接続する部分には「ボックス」を使う。
このボックスには、技能試験で必ず出るアウトレットボックスの他に、筆記試験でもよく出題されるプルボックス、コンクリート壁専用のコンクリートボックス等がある。
そして、ボックスと電線管を接続するときには、ボックスコネクタを使う。
金属製のアウトレットボックスと金属管を接続するときの注意点として、電気的にもきっちり接続する必要がある。このためにボンド線を使う。
このボンド線の接続方法が筆記試験にも出題されることがある。
次の過去問で、正しい接続方法をマスターするように。
技能試験のときには必ずマスターする項目なので、今、マスターしてしまおう。
過去問 <R3年上期 午前問21>
金属管工事で金属管とアウトレットボックスとを電気的に接続する方法として、施工上、最も適切なものは
<解答の選択肢>
<解法>
施工上、最も適切なのは、選択肢ハ
まとめ
金属管工事の問題は、ケーブル工事と並んで、超絶合格必須項目。これをマスターせずに合格するのは難しいかもしれないレベル。
合格するための重要ポイントは6つ。
- 低圧屋内配線工事はどこでもOK
- 木造屋側配線工事はNG
- 「E」はねじなし電線管
- 電線管同士の接続
- パイプベンダ
- アウトレットボックスとの接続
関連問題
・R3年下期-午前問23(総合)
・R3年下期-午前問34(木造屋側)
・R3年上期-午後問11(ねじなしボックスコネクタ)
・R3年上期-午後問46(E管とカップリング)
・R3年上期-午前問21(ボンド線)
・R2年下期-午後問13(パイプベンダ)
・R2年下期-午前問50(材料)
・電気工事の解説一覧